【保存版】現役日本人クリエイターに『ルーカスフィルムに就職する方法』を聞いた →「1番大切な能力は…」

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2019年12月20日、映画「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」が公開される。同作の公開を多くのファンが心待ちにしていると思うが、実は数名の日本人クリエイターが同作に携わっていることをご存じだろうか?

そのうちの1人が、成田昌隆(なりた まさたか)さん──。現在、ルーカスフィルム本社に所属する5名の日本人のうちの1人で、本作ではミレニアム・ファルコン号やスター・デストロイヤーのモデリングを手掛けた超1流クリエイターである。す、すげえ……!

・ルーカスフィルムの現役社員

「CGモデラー」と呼ばれる成田さんのお仕事を和風に説明すると「CG造型師」といったところだろうか? デザイナーがデザインしたコンセプトアートに無数のパーツを組み合わせ、絵だった状態をCGで立体化させる仕事、そう思って大筋では間違いないだろう。

成田さんは現在、ルーカスフィルム内のVFX制作会社「ILM(Industrial Light & Magic)」に所属しており、いわばルーカスフィルムの社内事情を知る数少ない日本人の1人である。そんな成田さんにILMに入社する経緯や労働環境、さらにはルーカスフィルムに就職するための極意を伺ってみたのでご覧いただきたい。

・入社した経緯

──本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。スター・ウォーズに日本人クリエイターが携わっているという事実に感動しています。さっそくですが、そもそもスター・ウォーズはお好きだったのでしょうか?

「ええ、大好きでした。最初に観たのは高校1年生の “新たなる希望” で、特に4~6が好きですね」

──なるほど、あの時代のSWがお好きなんですね。それではルーカスフィルムに就職したきっかけを教えてください。

「実はルーカスフィルムに入社したくて入社したくてアプローチしたワケではないんですよ。ただ、CGモデラーになって4年目の頃に門を叩かざるを得ないことが起きてしまいまして……」

──というと?

「簡単に言うと、当時勤めていた会社が倒産したんですね。業界第2位の大きな企業だったんですが、イギリスやカナダなど、国を挙げてのVFX誘致合戦に敗れたんです。背に腹はかえられませんから、ILMの門を叩いたんです」

──自信はありましたか?

「正直に言うと、まだ自分には早いんじゃないかと思っていました。当時からILMは業界の中でも最先端を走る企業でしたから。漠然と “10年くらい修行してからかな?” と思っていましたね」

──それが急遽、採用面接を受けることになったと?

「そうです。ただ運良く採用されて、まずは3カ月契約をしてもらいました」

──失礼ですが、当時はおいくつでいらっしゃったんでしょうか?

「2013年ですから……50歳ですね」

──素晴らしいですね。特に日本だと年齢がネックになって転職をためらいがちじゃないですか。そのお歳で「いつかILMで働くんだ」って思えていたことが素晴らしいです。

「ずっと目標ではありました。最終的にはILMで働く、というのが夢でしたね」

──それはスター・ウォーズがお好きだということもあって?

「それはあります。あとやはり業界の中でもILMはスター・ウォーズを築き上げた実績やブランド力が特別な存在なんですね。CGモデラーである以上、いつか働いてみたいと思っていました」

・下積みとかってあるの?

──いや、すごいです。では入社してからの話なんですが、ILMの中で下積みみたいなことってあるのでしょうか?

「基本的に社内で訓練などはありません。全て実践です。最初のプロジェクトはあるテーマパークのCGだったんですが、これを2カ月間全力でやりました」

──雑用とかはないんですね。

「ないですね。運が良かったのが、僕の上司が “スター・ウォーズ / フォースの覚醒” のスーパーバイザーになることが決まっていたことです。彼が僕のことを気に入ってくれて、3カ月の契約が半年になり、そしてスタッフになり、スター・ウォーズに抜擢してくれたんです。おかげで、フォースの覚醒の4人いるCGモデラーの1人になれました」

──ひょえ~。

「1つの仕事をきっちりこなしたことが評価されたのかもしれません」

──では入社されて間もない抜擢だったんじゃないですか?

「そうですね。入社して1カ月後にはスター・ウォーズのプロジェクトを担当することになっていました」

──実力や仕事ぶりはもちろんのこと、運も必要なんですね。

「そうですね。彼が上司ではなく、またフォースの覚醒の担当をしていなかったら3カ月で契約が打ち切られていたかもしれませんね」

・1日の流れ

──なるほど。では次の質問です。ルーカスフィルムでの1日の流れを教えてください。

「9時 – 18時のような縛りはありません。1日8時間労働が基本ですね。ある程度の幅があって10時出社のメンバーもいれば、12時出社の社員もいます。私は7時前には出社しちゃいますね」

──それは早いですね。

「通勤ラッシュを避ける意味もあるんですが、仕事が楽しくて仕方ないので早く職場に行きたいんですね。朝5時には目が覚めてしまうので、起きたらそのまま7時前に出社して、ジムで汗を流し、会社で朝食をとります。17時には帰宅。あとは家で妻と夕食を食べる感じです」

──理想的ですね。素晴らしいです。ちなみに社内でランチをとるとするじゃないですか? ルーカスフィルムの社内に社員食堂的な施設ってあったりするんですか?

ありますよ

──ええええ! あるんですか!? ルーカスフィルムに社員食堂が!?

「ええ、あります。カフェテリアがありますよ。僕はビジターのお客さんを連れて行くくらいでしか利用しませんが」

──それはロマンがありますね! 行ってみてえ……!! ついでに聞いちゃうんですが、社内にスター・ウォーズのアイテムとか飾ってあるもんなんですか?

「飾ってありますよ。実際に使ったものが結構展示されてますね。というのも、ルーカスフィルムはビジターの方がいらっしゃる頻度が高い会社なんです。もちろん一般公開はされていないんですが、社員が手配すればご覧いただくことはできますよ」

──えええええ! 夢のようなツアー!! ちなみに僕が成田さんを訪ねてサンフランシスコまで押しかけたら見学させてもらえますか?

「ええ、特別にやりましょう!

・1番のモチベーションは?

──行くしかねえ! では次の質問です。成田さんはミレニアム・ファルコン号のモデラーを担当されたとのことですが、特に気を付けていることはありますか?

「スター・ウォーズの世界観を守るということですが、結構 自分なりのエッセンスは入れてますよ」

──ですよね。でもスター・ウォーズってコアなファンも多いですし、ミレニアム・ファルコン号の型って基本は決まってるじゃないですか? そこに自分のエッセンスを入れていく作業って難しいと思うんですよね。

「そこが一番難しいところですよね。“俺のファルコンに何してくれてんだ!” みたいな声もあり得ますし。ただ、ある程度はモデラーの色が出てくるんじゃないでしょうか。私は戦艦大和が好きなので、パーツをファルコンに組み込んだりしてますよ」

──なるほど。ではモデラーをされていて、1番の喜びはどういうことなのでしょうか?

「1番のモチベーションは、自分が手掛けた作品を全世界の人に見ていただけること、そして喜んでいただけることですよね。そう考えると手は抜けませんし、妥協もできません

──カッコいい。では成田さんの代表作というか、会心の出来だった作品はなんでしょうか?

スター・デストロイヤーですね。フォースの覚醒のとき、1人でやらせてもらったので非常に印象深いです」

──スター・デストロイヤーは目にした瞬間から圧倒的な強さがありました。勝てねぇええええ! ……みたいな。

「僕らの仕事は、アートディレクターが起こしたコンセプトアートを具現化することです。大まかな見栄えは決まっているんですが、細かいところは何も決まっていません。それを自分で作り込んで形にしていくのがモデラ―の作業ですね」

──パーツの1つ1つまで1人でデザインするんですか?

「ええ、1人でやりますよ」

──ええええ! 気が遠くなりますね……。

「ミレニアム・ファルコン号から流用しているパーツもあるんですが、スター・デストロイヤーの場合は全部で2万5000パーツくらいですかね。それを1つ1つ張り付けていくんです」

──2万5000! そうか、スター・デストロイヤーですもんね……!! いやー、でも大変ですけどいいお仕事ですね。だって、スター・デストロイヤーが自分の手で完成していくんですもん。もちろんメチャメチャ大変だと思いますが。

「そうですね。楽しいですし、やり甲斐はあります。スター・デストロイヤーのブリッジは、前から見ると戦艦大和のようなシルエットになってるんですよ」

──へぇえええ。ちなみに、上司からダメ出しされたりすることはあるんですか?

「もちろんありますよ。ただ、完成してから見せてダメだったらシャレにならないので、段階的に承認を取りながら作業は進めています」

・必要不可欠な能力とは?

──すごいな……。ただただ、感動しております。ちょっと話は変わるんですが、ルーカスフィルムには現在5人の日本人スタッフがいるそうですが、英語力と何が大切なのでしょうか?

「うーん、英語力はそこまで大切じゃないです

──え! そうなんですか?

「例えばモデラーなら造形の能力が1番大切です。コミュニケーションはもちろん必要ですが、要するにアウトプットでわかりますよね。こいつはこんなにスゴイものが作れるんだ、と」

──なるほど。

「僕らの肩書はCGプログラマーではなく “CGアーティスト” なんですね。極端な話、CGソフトが使えなくても英語が話せなくても大した問題ではないんです」

──アーティストとしての能力が評価されると?

「そうですね。そこがないと厳しいと思います。とはいえ、たまに全く英語が出来ない人が採用されていますが、それはそれで大変そうですね」

──そうなんですね。ちなみに、初対面で本当に失礼なことをお聞きするんですが、やっぱりメチャメチャ給料もいいんですか?

「いや、日本の企業の駐在員だった頃の方がサラリーは良かったです

──ええええええええ! そうなんですね!!

「ただ、やりがいは何倍にもなりました。CGモデラ―自体は比較的需要のある職種で、私のところにも給料3倍の条件で、他業種の世界的企業(マジで世界的だった!)からヘッドハンティングがありましたね。もちろんお断りしましたが」

──もったいないような気もしますが、でもルーカスフィルムだもんなー。僕もいずれ入社できますかね?

「アメリカの会社は入ること自体はそこまで難しくないんですよ。ただ、使えないとすぐクビになっちゃうだけで」

──とにかく実力を磨いておけってことですね。あと、以前キャスリーン・ケネディ社長が “とにかく情熱が欲しい” と仰っていました。

「そうですね。仮に不採用だと言われても自分のやりたいことを猛アピールするといいかもしれません。意外と “こいつは情熱があるな、じゃあ1回やらせてみるか” と採用されることもあるようです。ただ、実力が見合ってないと1週間でクビになったりしていますが」

──うーん、なんて実力主義。でも夢のあるお話でした! 本当にサンフランシスコまで押しかけますので、その際はぜひよろしくお願いいたします!!

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ルーカスフィルムで働く日本人クリエイターさんのインタビューしてきたよ! カルフォニアの社員食堂に招待してくれるって‼︎ 行くしかねえ。

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というわけで、いつかルーカスフィルムに就職したい人にとっては、有意義な情報もりだくさんな内容ではなかろうか。とにかく実力と情熱、そして多少の運が必要だが、もしあなたに実力と情熱があればあとはフォースが導いてくれる……かもしれない。

なお、今作でも成田さんはミレニアム・ファルコン号を始め、数々のモデリングを担当している。映画「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」は2019年12月20日公開だ。

参考リンク:スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

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