ジャニス:リトル・ガール・ブルー〜27歳で逝った女性初のロックスター真実の物語
日本でも2016年9月に公開された『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』(Janis: Little Girl Blue/2015)は、ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー映画。
なぜ歌いたいかって? いろんな感情を経験できるからよ。仲間とお祭り騒ぎの毎日じゃ味わえない感情を知ることができる。想像力を働かせ、真実を見出すの。音楽は感情から生まれ、感情を生み出すわ。
1967年にレコードデビューしてからわずか3年ほどの活動。彼女は1970年10月4日に帰らぬ人となった。ベトナム戦争や公民権運動、ウーマン・リブなどに揺れた激動の1960年代後半のカウンター・カルチャー=ヒッピー&フラワームーヴメントやロック・ミュージックを象徴したジャニス。女性初のロックのスーパースターのあまりにも短い生涯に迫った、見応えのある決定版的な作品の誕生を喜びたい。
これまでこの伝説のシンガーを扱ったフィルムとしては、同じドキュメンタリーの『ジャニス』(1974年)やその人生を下敷きにして作られたベッド・ミドラー主演の『ローズ』(1979年)などが知られていたが、没後45年以上経って新しいラインナップが加わることになった。
監督のエイミー・バーグは6年もの歳月をかけて本作と取り組んだ。ライヴ映像、TV出演、スタジオ風景、家族や友人、元恋人やバンドメンバーらの証言インタビュー。そして密かに綴られていた家族へ宛てた手紙の数々が初公開される。
「故郷テキサス州ポート・アーサーで育った自分」と「ロックスターとなった自分」との間で常に葛藤し続けたジャニスは、家族に宛てた手紙の中では自分自身に正直であろうとした。ジャニスを知っている人も知らない人も、103分間のドラマから魂に触れる“何か”を感じることになるはず。これは鑑賞ではなく、一つの体験だ。
1940〜50年代のアメリカ南部というのは、今とは比べものにならないほど保守的な環境で、家族が彼女に求めることと、彼女自身が求めていることの間には大きな溝があり、幼い頃の彼女はその間で引き裂かれていた。(エイミー・バーグ)
テキサス州ポート・アーサーで生まれ、グラビア雑誌の女の子に憧れながらも容姿に対するコンプレックスを抱え、いじめに遭った孤独な少女時代。トラブルメーカーでありながらも、読書好きで歌の才能も開花して放浪を続けた青春時代。
サンフランシスコのコ..