【大人の科学工作】カメラの原型「箱カメラ」で遊んでみたら……難易度の高さに心が折れそうになった
初めて日本に写真撮影技術が伝わったのは1848年頃、江戸時代後期のことだという。大きくデフォルメされた浮世絵と違い、本人に生き写しの肖像が残ることに、人々は「魂が抜かれる」と恐怖したとか。3人で写真に写ると縁起が悪い、真ん中の人が早逝するなどという迷信が残るのも、きっと新しい技術に対する驚きと畏怖からだろう。
現代の我々にとっても十分に不思議だが、「小さな穴を通った光が像を結ぶ」という事実は紀元前から知られていたらしい。それを利用したのがカメラの原型とも言えるピンホール(針穴)カメラや、凸レンズを使った箱カメラだ。そんな原始的なカメラを手作りして、簡単に遊べるというキットがあるのでやってみたら、全っっっ然簡単じゃなかったので事の顛末をご報告したい。
・箱カメラ組立キット
今回購入したのは株式会社アーテックの「箱カメラ組立キット(Amazonで945円)」。学校教材の製造・販売メーカーなので信頼度は抜群。材料は全て同梱されている。
用意するのはセロハンテープとハサミ、そして最後にアイロンが必須なので一人暮らしの方は注意されたい。感光紙は24枚も入っているので追加で用意する必要はない。
作業は説明書に従って2つの筒を組み立て、レンズやトレーシングペーパーを貼り付けるだけ。小学生くらいの子どもなら十分に完成できるだろう。
同梱されていたNitto No.500の工業用両面テープが優秀で、厚紙がピタッととまる。撮影時に屋外に置いても剥がれる気配がなく、十分な耐久性があった。
厚紙の裏面、つまり筒の内側は真っ黒に印刷されているので光を遮断する。箱カメラではこの点が大事らしい。
完成。ランプ的なものやディスプレイ的なものが印刷されていて遊び心がある。
・撮影に出かける
おそらく撮影には日光が大事。頭上に障害物がなく、通行人の邪魔にならず、よく日のあたる……という条件を考慮し郊外の公園にやってきた。被写体として、適度な重さのあるレゴのフォルクスワーゲンに登場してもらおう。
説明書によると、夏場は30〜45分、冬場は45〜75分の露光が必要らしい。つまり、人間やペットなど動くものは撮影できない。また、風などに吹かれて位置が変わってしまうものも不適。暖冬とはいえまだまだ光量の少ない冬なので、最大時間の75分間やってみよう。
感光紙は日光にあたらないよう、はじめ..