常識を疑う入浴剤「牛丼の湯」と「おでんの湯」…ニンニク臭の湯につかりながら考えた人生の真理

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世の中には、どうしてこんなものを作ったのかと首を傾げたくなる商品がある。個性的なのは悪いことではないが、いくらなんでも「牛丼の湯」って……「おでんの湯」って……。バスタイムにどんな気分を求めているんだ。

なにって、ヴィレッジヴァンガードの「だし汁の湯」シリーズのことだ。同店のバイヤーが競い合い、勝ち残ったアイディアを商品化する「天下一武道会」から生まれたこの入浴剤。発売は2016年だというから、かれこれ4年も売れ続けていることになる。

なかなかの人気で、オンラインストアでも品切れが多いのだが、このたび運悪く……じゃなかった運良く入手できたので試してみたい。

・牛丼の湯(330円)

パッケージはまさに牛丼。美味しそうな実物写真で、レトルトパウチです、と言われても信じてしまいそう。どこかの店を連想させるオレンジ色のパッケージだ。「特製ダレ仕立て! ご飯大盛り! つゆダクで!」のあおりと、「食べられません!」の注意書きが大いなる矛盾を生んでいる。

商品表示を見てみると、牛肉や玉ねぎは入っていない。成分は本当に入浴剤のようだ。

中にはくすんだピンク色の薬剤が入っている。はっきり言って、ものすごい匂いだ! これは、牛丼というよりもニンニクの匂い! 浴室一帯にむせ返るようなニンニク臭が広がった。食欲がわくかどうかはともかく、食べ物の匂いであることは確かである。

いざ、投入。

うわぁ…………

味噌汁を作るときに、鍋の中で味噌が溶けていくようなビジュアル……。

ここからは憶測だが、入浴剤メーカーにとってこのような牛丼色を作ることは、おそらく技術的には容易。しかしどこもやらないのは、単に見た目が汚いからだ……。

なかなか混ざりにくかったが、一応許容できる程度にクリアな茶色いお湯になった。

風呂場にはニンニクの匂いが充満している。熱々のお湯に牛肉のように浸りながら筆者は考えた。これは一体、どんな人が考えたのか、どんなコンセプトだったのか、開発には苦労があったのか、リピートする人はいるのか……。つらつらと考え込んでいるうちに、いつもより長湯をしてしまった。

不思議なことに、入っているうちに匂いは気にならなくなる。空気中で拡散してしまうのか、あるいは鼻が慣れるのか。なので長湯にまったく支障はない。

なお、出る前に思わずもう1度身体を洗ってしまったので、人体にどれくらい匂いが残るかは未検証である。浴室に関しては残り香もなくきれいに洗い流せ、掃除が大変ということはない。ただし、気分的に「自動保温」や「追い焚き」はしない方がいいと思う……。

ところで、後に資料として必要になることもあるので、記者のたしなみとして、筆者は空袋をジップロックして保管しておいた。ところが、次の日になってもジップロックから匂う! 「ほんのり」というレベルではなく、しっかりと匂う。見た目には密封されているし、封入時に粉がついてしまったということもない。これは一体……。

・おでんの湯(330円)

その日の夜、今度は「おでんの湯」を検証。正直「牛丼の湯」のインパクトが強すぎたので、あまりドラマチックな展開は期待していなかった。料理として考えてもちょっと地味だし、昨日を超えるような強烈な匂いということはないだろう。

開封した瞬間……筆者は「なるほど!」と膝を打った。

おでんの匂いは定義しにくい。例えばカレーなら、誰が嗅いでもカレーだとわかる匂いがある。おでんの匂いを強いて表現するなら、雑多な食材が出汁で煮詰まった混合体……。ニンニクのように自己主張するホームラン級の食材があるわけでもない。それをどうやって表現するのかと思っていたら、これはまぎれもなく「かつお節」の匂い!

溶かしてみると、今度は「だしの素」がお湯に溶けていくような色合い。

うっすらと茶色くなり、何年も放置されて古くなった水のように見える。

お湯に入っているうちに、かつお節の香りは湯気とともに静かに消えていった。これは「あり」だ。

なにが「あり」なのか自分でもわからないが、ここが風呂場でさえなければ「いい匂い」と言ってもいい。なんで入浴剤にしてしまったんだ。そのまま出汁でいたらいいじゃないか。なんのためにこれは存在しているんだ。

「食べ物の匂いを再現する」ということが、社会的にどんな意義があるのか筆者にはわからない。子どもの頃は「21世紀にはテレビから匂いが出るようになるんだ」と信じていたし、雑誌の付録の「こするとチョコレートの匂いがするシート」に狂喜していたけれども、今ならわかる。食べ物ではないものから、食べ物の匂いがしても、虚しいだけだと。

・人生の真理

もしかしたらヴィレヴァンは、「意義」とか「理由」ってそんなに大切ですか、役に立たないものは存在しちゃいけないんですかと、現代社会に生きる我々に問うているのかもしれない。無駄かもしれないこと、意味のないことを真剣にやる……はっ、それって私たちロケットニュースと同じじゃないか! 深い真理を見たような気がする。リピートはしないけど。

同シリーズは他に「カレーの湯」「ラーメンの湯」「味噌汁の湯」がある。(過去にはやきそばやチゲ鍋があったらしい)。1週間の食事をまかなえるラインナップだ。最後になるが、ヴィレヴァンのオンラインストアでは「えっ買うの!? 馬鹿なの?!」のタグがつけられていたことを申し添えたい。ヴィレヴァン万歳。

参考リンク:ヴィレッジヴァンガード
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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