Goodnight Saigon〜ビリー・ジョエルが紡いだ究極の反戦歌

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「この曲を最後まで仕上げるのは、とてもヘヴィーなことだったよ。当時、世の中の人々には、受け入れる準備がまだできていないと感じていたんだ。きっと思い出すことさえ辛いことだろうと。他の誰よりも、かつて兵士だった人たちを傷つけてしまうだろうと。」
「Goodnight Saigon」は、ビリー・ジョエルが1982年にリリースしたアルバム『The Nylon Curtain(ナイロンカーテン)』のA面ラストに収録されていた。
約7分におよぶその歌は、それまで彼が発表してきた作風とは一線を画すシリアスな内容だった。
ビリーは1979年から約3年の歳月を費やしてこの曲を書き上げたという。
『ローリング・ストーン』誌の評論家スティーヴン・ホールデンは、この曲についてこんなコメントを残している。
「歌の内容が明らかになっていくにつれ、彼が歌う“We”は、生者も死者も問わず、東南アジアで戦ったすべてのアメリカ兵を意味するものとなっていく。」


俺たちはパリスアイランドで魂の友として出会った
俺たちは同士として海兵隊新兵訓練所の施設から旅立った
僕たちは研ぎ澄まされたナイフのようだった
俺たちは塹壕(ざんごう)を深く掘って
目に見えるものを撃ちまくった
そして全身全霊で神に祈った


この歌が発表された1982年といえば…ヴェトナムからアメリカが撤退して10年という節目の年を迎える直前だったという。
彼はアルバムの製作に取りかかって間もない頃に、オートバイ事故を起こして左手首を骨折し、約一ヶ月の入院生活をおくっている。
商売道具の「手」を負傷してしまい、自己嫌悪に陥り、鬱々と過ごす病室で彼はさらなる試練を受けることとなる。
デビュー時からマネージャーとしても彼を支えてくれた妻エリザベスとの離婚話が持ち上がる。
そんなある日、彼は病室のナイロン製のカーテンを眺めているうちに、新作アルバムのタイトルを思いたという。
度重なる試練が、彼の心をそれまでとは異なる世界へと向けさせたのだ。
それまでヒットチャートに叩き込んできた作品『ストレンジャー』(1977年)や『ニューヨーク52番街』(1978年)と比べ、社会問題をテーマにした楽曲を主軸に持ってきたのだ。
「兵士たちが戦場で溝に身を潜めながら考えているのは、ヒトラーや毛沢東のことなんかじゃない。自分の尻が吹き飛ばされやしないかと、それだけを心配しているんだ。それは身の毛もよだつような経験だ。だからヴェトナム帰りの兵士たちの間には、必然的に彼らだけしか持てないある種の“同志愛”のようなものが生まれるんだ。」
そう語るビリー・ジョエルは、自らの意思で徴兵を忌避したという。
とはいえ、反対運動の集団に入っていたわけでもない。
「忌避は自慢できることではないけどね…。僕が生まれ育ったニューヨーク(ロングアイランド)では、当時、多くの若者が戦争に徴兵されていった。大学に進む奴なんてほとんどいなかったよ。政治的理想を持っている者もいなかったから、誰もが疑問を持たずに戦争に出かけていった。僕は多くの友人たちが戦争に参加する姿を見て、酷く胸が痛んだ。若者たちは戦地におもむき、前線で戦ったあげく、生きて帰ってくると…まるでクソみたいに扱われる。僕は全面的に戦争に反対だ。これまでも反戦歌はたくさん作られてきけど…普通の兵士たちの姿や考えを描いた歌はあっただろうか?つまり彼らを代弁するような曲があっただろうか?」
コオロギのような虫の鳴き声から始まり、続いてヘリコプターの非行音が近づいてくる。
ピアノのイントロがようやく聴こえ出すのは、虫の音が始まって50秒も経ってからだ。
ドラマティックに展開する物語がエンディングを迎えると同時に…今度はヘリコプターの音が遠のいてゆき、夜の静寂に虫の音が広がるようにして曲が終わる。
彼は、あるインタビューでこんなことを語っている。
「あの歌は究極的な反戦歌なんだ。アメリカでも発表当時はずいぶん政治的立場をはっきりしろと求められたが、音楽家は政治家ではなくヒューマニストだ。若者をジャングルに投げ込んで死なせるのは悲劇なんだ!そのことを訴えるだけでいいんじゃないか。」

俺たちは一緒に倒れてゆくんだ…
みんな死んでしまうだろう…
そう俺たちは誰も助からないんだ…



<引用元・参考文献『反戦歌 戦争に立ち向かった歌たち』竹村淳(著)/アルファベータブックス>
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